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字幕のミスは、少なくとも三か所は存在します。 ①劇中劇の男優のセリフ。 女性に対する二通りの誉め言葉を、一繋がりの訳文と勘違いし、更に縮めたため、奇妙な文章になっています。 ②主人公が求婚を決意したとする誤り。 ③黄金の密輸事件の後に、アンへリカがイニゴに語るセリフ。「私も知人を亡くしたわ」 これは、国王に匹敵する権力を持つ大貴族が、国庫に納めるべき新大陸の黄金を密輸した事件です。 国王は、権力者を大っぴらに罰することが出来ないため、主人公たちに海賊を装わせて黄金を横取りします。原作でも、高位の人物は一人も死亡していません。 密輸船の襲撃で殺された貧しい男たちは、アンへリカにとって「知人」ではなく、失って(英語でLost)悲しいのは宮廷のコネクションです。 その他に、劇場版で使用した「英国皇太子」を、わざわざ「王太子」と訂正したのも、分かりやすさを旨とする字幕には不必要な改定でした。この国は古くから「帝国」と名乗っていました。 アラトリステがマリアの屋敷の前で、国王を護衛する伯爵たちと斬り結んだ後、宿屋でケベードと話す場面の、「彼女のためじゃない。そういう訳ではないんだが」というセリフも、問題のある翻訳です。これは劇場版の通り、「自分のためにやったことだ」という訳で十分なセリフでした。(英語では、I'm not doing this for her but for myself. スペイン語で、No lo hago por ella.Lohago por mí.) 「自分のプロポーズのため」では体裁が悪いので意訳したのでしょうが、本来は、正体不明の有力者の脅しになど屈せず、自分で直接マリアの本心を確かめるために、屋敷を訪ねようとした…というセリフでした。
by Gran-desastre
| 2010-09-03 14:27
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