Gran-desastre

ウィキペディア用の文章

===日本語版における問題点===

翻訳に関する問題

本作の日本語字幕は、劇場版と改訂された日本版DVD、及び日本語吹き替え版が存在する。これらの字幕では主人公のアラトリステが恋人の女優マリアとの結婚を決意したとされている。(脚注で、「求婚を決意する」と記されているプレスシート(部分)の映像と、プレスシートの文章を引用した琉球新聞のWeb記事) 
しかし、ファン・サイトでは、アラトリステが明確に結婚を断っているとして字幕の検証が行われた。(脚注で私達のサイトのアドレス)

誤訳とされる台詞
日本語字幕でアラトリステが結婚を決意したとされる根拠は、アラトリステに首飾りを売る宝石店の女主人の以下の台詞である。

スペイン語 “A lo mejor, abuso de vuestra confianza. Pero... ¿estaría equivocada si pensara que con este obsequio vuestra merced está pensando en, digamos... un futuro con esa dama tan hermosa?”

英語字幕 “I would not abuse your trust... but would I be mistaken in assuming that with this gift Your Worship is thinking of, shall we say... a future with this lovely lady?”

日本字幕 (DVDで確認の上、記入します)

日本版DVDで改訂字幕の監修を行った加藤晃生は、自身のブログに「劇中劇の男優の台詞で一箇所、誤訳の見落としをしてしまった私ですが、そこ以外は特に後悔している部分はございません」という文章を発表している。(脚注でブログのアドレス) 
しかし、ファン・サイトは、東京外国語大学教員の柳原孝敦のブログ(脚注でアドレス)を参照して、この台詞が条件法の文章であることを示し、贈り物の目的が「将来」ではなく「現在の愛人関係の維持」であることを指摘している。(脚注で追加したブログのアドレス)

問題のある字幕による映像の二次使用
日本における配給元の㈱アート・ポートは、誤訳の指摘を受けつつ2010年にDVDをケーブルTVの映画専門チャンネルであるシネフィル・イマジカに提供した(脚注で映画紹介のWebページ)。さらに2012年からはDMMがWeb配信による映像の販売を行っている(脚注で該当ページのアドレス)。

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私達のブログに追加したページ 
映画の画面などの使用については、配給元の会社に今回の件を伝えがてら、使用許可と使用料の請求をお願いするメールを送りました。

本作は、架空の剣士アラトリステが17世紀ヨーロッパの歴史上の人々と関わり、冒険と戦いの日々の果てに、最後の戦場に赴くまでの20年間を描いた史劇である。アラトリステと恋人の女優マリアに、時のスペイン国王フェリペ4世が絡む恋物語も、作品全体を通して描かれる重要なエピソードである。

宝石店の女主人の台詞
物語の中でアラトリステは、恋人のマリアから結婚したいと提案される。本来の台詞では、アラトリステは即座に断っているのだが、字幕の台詞では曖昧に描かれた。その後の場面でアラトリステは首飾りを買いに行く。そのために日本語字幕では、アラトリステが結婚を決意したと解釈された。

最大の問題点は、アラトリステに首飾りを売る宝石店の女主人の台詞だった。劇場版の日本語字幕において、この台詞は「その美しい貴婦人と将来を共に」するための贈り物と訳された。改訂されたDVDの字幕でも「将来を考えて」の贈り物とされ、アラトリステが迷った末にプロポーズの決意をしたことの根拠とされた。

監修者による誤訳の否定
原作小説の翻訳者であり、DVD字幕を監修した加藤晃生氏は自身のブログに「誤訳の見落としは別の一ヶ所のみ」という趣旨の文章を掲載して、女主人の台詞のミスを否定した。これを受けて、2012年6月までウィキペディアから「誤訳に関する情報」が全て削除されていた。

柳原先生のご指摘
女主人の台詞について東京外国語大学准教授の柳原孝敦氏は、「条件法」の文章であり字幕はニュアンスを取り違えていると自身のブログで指摘した(ブログへのリンク)。
条件法であれば、「将来」ではなく「現在のマリアとの関係を維持するため」の贈り物となる。アラトリステは、結婚を断り失望させたマリアに、せめてもの愛情を示すために、どん底の貧しい生活の中で高価な首飾りを買い求めたのである。男の誇りを何よりも重んずるアラトリステにとって、パトロン達と肉体関係を持つマリアとの結婚は、誇りを捨てる行為であり不可能なのだ。

誤訳による作品の変質
アラトリステとマリアの関係は、この後も物語の終盤まで描かれ続ける。アラトリステは国王によってマリアを奪われ、やがて彼女との別れの時を迎える。「プロポーズをしようとした」という字幕の誤った解釈のために、それらのエピソードはひどく変質してしまった。「結婚しようとしたのに、国王に先を越された」という場合と、「結婚を断ったために、愛する女の運命を悲劇に向かわせてしまった」では、フィルム上の演技は同じでも観客にとっては意味が変わってしまうのだ。
肝心な部分に大きな誤りのある日本語版の字幕は、欠陥品であると言わざるを得ない。
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by Gran-desastre | 2011-06-22 12:28
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